第2回

2018年08月24日

お題:麦茶・結晶

383文字


そう、後悔はいつだってできる。

この夏という時期、暑さからくる脳神経へのダメージで人は自分を追い込む。

そう、怪談という精神にダメージを負うような馬鹿げたイベント事で。

よく聞くのはその手の話をしていると幽霊やらが寄ってくるという話だ。

しかしうちに来たのは、

雪女という名の、妖怪と言われる類の者だった。

「ねぇ、暑くて溶けそうなのだけど。」

机に並べられた2つの飲みかけ麦茶の中にある氷は

僕たちの行く先を嘲笑う様にゆらゆらと揺れていた。

「これ以上寒くすると僕が風邪を引いてしまう。」

「それだったら何か涼しくなるような話をして頂戴。」

今、生まれてきて妖怪なんてのははじめてのこの状況、

僕的には震えるほど涼しいのだが、と思いながら

ぐいっと麦茶を飲み干し、コップの中に残った

角の無くなった冷たい結晶を口の中でころころと回し、

どうやって帰ってもらおうか考える。

部屋は冷え切ったままだ。


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