第11回
2019年04月15日
ヴァンパイア、見えない犬、風
豆腐399
部屋の窓を開けるとほんのりと暖かい部屋に涼しく気持ちい風が入ってきた。
この時期が一番好きかもしれない。
DVDが置いてあるラックを見る。
今日は何を見ようか、視線を這わせる。
たまにはいいか。
選んだのは友人が置いて行ったもので、ヴァンパイア映画だ。
ポットに暖かい珈琲と先日買って余っていたクラッカーを用意して映画を流した。
映画をうつらうつらと見ていると、少し寒く感じ窓を閉めに立った。
すると窓の外に見える小道でたぶん犬が散歩をしていた。
たぶんというのは塀で犬が見えないからだが、息遣いや足音で大体犬であろうことがわかった。
ふぅん。という感じで窓を閉め映画を再生した。
なぜ犬の息遣い、足音が聞こえた?ここは18階だぞ?
映画を変えてこの感情を別のものにしたい。
他になにか、外で犬が吠えた。
ベランダの、外で。
怖くなった自分は部屋を飛び出し近くのファミレスで朝まで過ごした。
その日以来夜窓を開けることはなかった。