第17回 初夏の章
2020年07月19日
お題:眩耀、琥珀、白縹、しゃくしゃく、空のグラス
夏に盛りとばかりに伸びる雑草をあらかた抜いてしまってから、お茶を飲みながら休憩するのが常になっていた。
日陰に置いておいた折りたたみ椅子の上の鞄を膝に抱えて座ると、一気に暑さがきたようにどっと汗が出る。帽子を地面に放って水筒を出し、ぱちんと蓋を開けた。
もうひとつと取り出した透明なグラスを空にかざして中身を注げば、白縹に透けていた空のグラスは琥珀色に満たされていく。ぐいっと煽ればキンっと冷えた紅茶の風味が喉を通っていって萎れた花が水を吸い込んだようだった。
一息ついて目をやる先の植え込みには夏のそよ風に揺られる葉が眩耀に揺れている。芍薬は綺麗に手入れしているが、もうじき枯れてしまうのだろう。
胡散 299