第21回 啓蟄の章
2021年03月29日
お題:花霞、夏の果、じゃりじゃり
じゃり、じゃり、じゃり。踏み進める度に小気味のいい音がなる。
楽しくて歩みを進めるが、なんにせよ暑い、暑すぎる
「うぅ、暑い」
決して厚着をしている訳じゃない。お気に入りのワンピースはノースリーブなのに日除けのために被っている帽子すら暑い
これ意味あるの?
意味のない自答、取るつもりは毛頭ない、紫外線は怖いのだ。
もう夏も終わり、夏の果だというのにまとわりつくような暑さはいつまで続くのだろうか。地球温暖化というのも納得する暑さだ。
もう足元からは音はしない。足元から帰ってくるのは反射した熱気だ。
そのまま歩みを進めると目の前が急にひらけた。向こう岸までどれくらいあるのかわからない河だ
大きな河の両端には桜が埋まっているようで、春の頃にはその花霞で多くの人を楽しませたのだろう
多くの緑の中で浮くような淡い桃色の雲を思い浮かべて来年は桜の時期に来よう、そんな小さな計画を心にいつ終わるか分からない散歩は続くのだった
鈴木 400文字