第31回 立夏の章
2022年06月16日
お題:強く吹く風の隙間、筍、抹茶
ここの土はやわらかいな、
何度も足を取られてはその度こけそうになっている。
周りにはざわざわと竹が天高くそびえている。
隙間から来る光の線がきらきらと行く先を照らしている。
ざぁっと竹々を薙ぎながら風が吹く。
強く吹く風の隙間にちらっと筍の頭が見えた、
これは、と手に持っていたスコップを持ち筍を掘る。
なかなかの大物だな!
風が教えてくれたのか、良い風だ。
ふと目の前には茶屋が建っていた。
茶屋?すると中から店主らしきひとが出てきて
どうぞと手招きをしている。
すこし喉も乾いていたことだし、と
店内に入り店主に聞く、なにかおすすめはあるかい?
そういうと、
「冷えた抹茶などどうでしょう」
冷えたと聞いて思わず喉が鳴る。
すこしするとカランと氷の音と共に店主が抹茶を持ってきた。
冷えた抹茶が喉を通る、あぁ絶品だ。
ありがとうというと会計をして店をでる。
ふと店に筍を置いてきたことを思い出す。
あ、と振り返るとそこには青々と続く竹林があった。
touhukan 404