第34回 緑雨の章

2022年06月16日

お題:梅鼠、追い越す、灼熱、重い、四葩の花


暗くどんよりとした雲が永遠と続いていた。

梅雨を追い越すようにむわっとした熱が身体に纏わりつく。

小さく溶けた氷をぼりぼりと食べる。すこしでも涼めればと食べたが一瞬だけの清涼感の後、またぬるい熱が顔を曇らせている。部屋のエアコンは壊れているのかぬるい風しか出さないし、窓をあけても梅雨終わりのじめじめとした空気しか入ってこない。眼下には水を含みすぎた四葩の花が頭を重く垂らし、地面にひろがった梅鼠の水溜まりはゆらゆらと風に揺られている。

重い腰を上げ、こんな日は素麺を食べるべきだ。と自分に言い聞かせ、遠出して大きめのショッピングモールへと赴く。中へ入ると心地のいい涼しさでずっと此処に居たいと思ってしまった。

、、、しまった。余計に買いすぎた。両手に持った大量の荷物は手の血液を滞らせるほどにある。

自動ドアをくぐるとさっきまであった永遠の暗雲は何処へ、真っ青な空が広がっていた。

次の瞬間、灼熱のコンクリート熱が自分を襲った。

touhukan 409


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