第41回 小寒の章

2024年11月07日

お題:夏霧、夕凪、稲積む


気付くと右に海を見ながら砂浜をはだしで歩いていた。

波は無表情で夕凪と云うを表現している。

夕日が沈む。

ただ薄く霧がでている。

暑さを感じる気温に、夏霧が肌に馴染んている。

ただ、夕方か朝かわからない、そういう不明な心地の良い

時間にさくさくと砂浜を踏む音だけが耳に届く。

一体どれほど歩いただろうか、

変わらぬ景色に、変わらぬ気温。

永遠と続く同じにふっと溜息がでた。

一旦、足を留め、腰を下ろしてみる。

ぐっと沈む身体をなんとか平行に保つ。

力を抜いて倒れこんでみた。

まるでふわふわの綿菓子に眠っているみたいだ。

そっと目を閉じてみた。

どくんどくんと自分の心臓の音が大きく聞こえる。

ずっとずっとずうと、なにもないような気がしている。

何をしてても、そこに自分がいないような。

でも、そこに自分はいる。

よくわからないような状態がずっと続いている。

ぐっと、手に力を込める。

いい加減に目を覚まそう、稲積む時間は終わりだ。

touhukan 395


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