第5回

2018年08月29日

お題:夜空の星・籠の中

326文字 アンダー


見上げる星空は満天。眠る木々に囲まれた中の光源は、瞬いて降り注ぐのはそれらだけだ。

 遮るものは何もない。私にはあまりにも高い木々すら、低いとばかりに遥か高くできらきら瞬きながら空を遊んでいるのだ。

 本当に鳥だったら。鳥だったなら、ここから飛んでいけるのに。木の陰すら遮らない場所で、ただ、本当に、星空を見ていられるのに。

 けれど羽がないからこそ、こうして籠にも遮られずせめて一面の星を見ていられるのだろうとも思った。そうでなければ、慰みに与えられた籠の中の取りみたいに、網目に遮られて空すらまともに見られないのだ。

 ああ、けれど。本当に鳥だったなら、などと。空が澄んでいると、こんなに星が綺麗だと、そんな詮無いことを思ってしまう夜だってあるのだろう。


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