第6回
2018年08月29日
お題:晩夏・真っ赤な
400字
賭けっていうものは大抵、運だ。
運っていうのは人生みたいなもんで、実際はもう先の出来事は決まってて、
自分ではどうしようもない。そんな感じで、たぶん目の前にある真っ赤な、実際は
もっと綺麗な赤かもしれないが、自分の目に見えている赤は少し滲んで見えて、
誰もいない赤は、ただ純粋に綺麗ってだけで。
誰も、いない虚空で。
これからも誰も、いない虚しさ。
一人しかいない赤にただ涙が止まらなくて、
目の前に広がるはずだった綺麗な赤はとても残酷で、
自分だけ見えているこの赤が、憎い。
今回の賭けは人生に関わるような賭けではなかった。
けれども、結果は惨敗、無念、残念賞。
目の前に広がる真っ赤な晩夏は、涙に滲んで少し見えにくくて。
それでも自分ってもんはきっと来年の今頃になれば、
今日のこの日のことなんてきっとなんとも感じないのだろう。
それでも今の自分の気持ちを静めるために、
すこしでも多く涙を流し、目の前の赤を見えにくくしていく。