第8回
2018年08月31日
お題:マニキュア、煌めく、宝石、ひっくり返したバケツ、時計
389文字
そっと彼女の手に触れる、きれいに飾られた指先に見とれ、優しく壊れないように
撫でる、爪は彼女にとても似合う色のマニキュアで塗られていた。
煌めく彼女の指先へ宝石のついた指輪を通した。
いままで生きていた中で、一番幸福な瞬間であると言える。
それと同時に背後で爆音と同時に強い衝撃がはしった。
時計を見るとどうやらもう時間がないらしい。
焦りつつもこの時間を大事にするよう優しく彼女のベールを
そっとめくり、悲しいやら嬉しいやら複雑な顔をした彼女の
頬へ手を添え、誓いのキスをした。
ここまで来られたのは彼女がいたからである。
彼女も嫌な顔一つせず僕についてきてくれた。
僕らの周りでは人が逃げ回り、死に絶えている。
彼女の純白のドレスもすこし汚れている。
そんな汚れた世界の中でも彼女だけは輝きを忘れない。
ひっくり返したバケツの上で挙げられる式に
最後の時がやってきた。
僕達が結婚した日。
地球が消滅した日。