第9回
2018年08月31日
お題:狂信、眠り、ジーザス、蛍光、夏の終わり
399文字
時に意図せず勝手に身体が動いている時がある。
今日も終わらない仕事をひと段落し、残った仕事に備え
眠りにつこうと思いつつバネが機能しないベッドに
横になる。
ふとお経の様な呪文の様な耳障りな声が聞こえてくる。
出所はわかっている、隣の部屋に住むよくわからない神に狂信している
かわったおばさんである。
時間は午前2時過ぎ、すでにみんな寝静まる時間である。
何度もお願いはしているが止まないことはない。
前よりもひどくなってさえいる。
俺も神にさえ祈りたくなる。ジーザス。
蛍光灯から延びる紐に手をかけ、
ベランダに出る、その頃には騒音は止み、
おいしくない煙草に火をつける。
こんな気分では仕事さえしたくない、
神に祈るほどになにかあったのかなんて知ったことではないが、
一度だけ噂を聞いたことはある。
その時おばさんは「殺される」と言っていたらしい。
静かになった部屋から出て身体を綺麗にするため
シャワーを浴びる。そんな夏の終わり。