第12回
2019年04月15日
変質者 暁
ぽひゅんっ、と可愛らしい音が手元の機械から流れる。
普段だったらすぐにでも携帯に目がいくのだが、
今日は目の前の景色にくぎ付けだった。
目が離せないというか、離したらどうなってしまうか。
暁の空間、帰り道、いつも通りだったはずのこの道に
今日はいつもとは違う光景が広がっている。
季節はすこし暖かくなってきて花達がうららと咲き誇ってる
そんな綺麗な道。
眼前に広がった景色に頭が追い付かないでいる
仕事で疲れ切った頭がオーバーオーバーと悲鳴をあげ
いままで生きてきた29年間の人生初めての出来事で
これは現実なのかここに突っ立って5分は経過しようとしている
一旦家に帰り、コーヒーを飲んで落ち着いたあと
考えなおしたい。あぁきっとこれは天罰だな。
仕事が終わらない同期を会社に置いてきた罰だ。
これはギルティ。
ああぁ神がいるならこの惨状をどう説明してくれる。
虫以上に無視できない。
春以上に心晴れない。
眼前に現るは変質者。
395文字 touhukan